鳩の家庭教師in川口市 │ 参考書学習をサポートします!

数学・物理・英語などを指導して15年目の個人契約の家庭教師です。川口市(旧鳩ヶ谷市)在住です。

複素数平面のアプローチ方法~4つの解法を比較する

数学Ⅲで学ぶ複素数平面は、複数のアプローチ方法があって解答の方針で迷うことがあると思います。今回は1つの問題を4通りの解法で解いてみました
複素数平面の基本の確認にもなると思いますので、参考にしてもらえたら幸いです。

画像のみでの解説になることをお許しください。 

複素数平面の4つの解法

\begin{align*} &(1) \ z,\overline{z} のままで解く\\ &(2) \ z=a+biとおいて解く\\ &(3) \ z=r(\cos θ+i\sin θ) とおいて解く\\ &(4) \ 図形的に解く \end{align*}

 ※(2)は直交形式、(3)は極形式と呼ばれています。 

20180722_hukusosu-heimen1

 

20180722_hukusosu-heimen2

  


 

点Qが描く軌跡~反転について(名古屋大2007年)

大学受験の数学で、ある点の軌跡を求める問題は頻出です。軌跡は高校では数学Ⅱ「図形と方程式」の分野で習いますが、入試では数学A「平面図形」や数学B「ベクトル」との融合問題も多く、出題されやすいのも分かります。

今回は、軌跡の中でも難関大でよく出る「反転」というテーマを背景にした入試問題を解説します。

「反転」をテーマにした入試問題の解説

20180710_hanten-1

(1)の補足

この問題を、接点AとBの座標を円の接線の公式を使って求め、線分ABの中点Qの座標を出すというように、数学Ⅱ「図形と方程式」の知識だけで解こうとすると、計算がとても煩雑になってしまいます。(画像になくてスミマセン)

そこで、上の画像では下記の手順で解答を記述しています。

  1. 三角形の相似からOP×OQ=1を証明する・・・数学A「平面図形」
  2. 3点が一直線上にある条件OP×OQ=1から点Qの座標を求める・・・数学B「ベクトル」

(2)の補足

\begin{gather*} (1)で点Q( x_{1} ,y_{1}) を点P( x_{0} ,y_{0}) で表すことができたわけです。\\ ここからx_{0} ,y_{0} について解き、x+y=2に代入して、 \end{gather*}

と通常通りに進めるとやはり計算が大変そうです。

そこで、上の解答では、 \begin{gather*} 点Pのx_{0} ,y_{0} を直接点Qのx_{1} ,y_{1} で表す\\ \end{gather*}
ことで、計算量を大幅に減らしています。また、反転の性質から、点Pの座標を(1)を求めるのに点Qの座標を求めた解法を用いています
これで、点Q軌跡の方程式が求まります。

(ここからは下の画像の説明)

最後はいわゆる軌跡の限界についてチェックし、原点が除外されることを確認します。
結局、点Qの軌跡は円(原点を除く)となります。

直線や円を「反転」させると像(軌跡)はどうなるか

20180710_hanten-2

こうした解法は、「反転」というテーマが背景にあることを知らなければ、なかなか思いつけないと思います。
「反転」の説明と例題に関しては、受験数学の神サイトである「受験の月」さんの下の記事が素晴らしすぎます。いつ拝読してもすごい。。。

examist.jp

 私の画像にある「参考」では、名古屋大学の問題を少し一般化して、

点Pが直線や円周上を動くとき点Qの軌跡はどうなるか

について説明しています。直線または円の方程式を \begin{equation*} a\left( x^{2} +y^{2}\right) +bx+cy+d=0 \end{equation*}
という一つの式で表しているのがポイントです。

結論として、点Qの軌跡は(ア)~(エ)の4パターンに分類されます。

  • (ア)点Pが原点を通る直線上を動くとき点Qは元の直線を描く(原点を除く)
  • (イ)点Pが原点を通らない直線上を動くとき点Qは原点を通るを描く(原点を除く)
  • (ウ)点Pが原点を通る円周上を動くとき点Qは原点を通らない直線を描く
  • (エ)点Pが原点を通らない円周上を動くとき点Qは原点を通らないを描く


見にくいですが、2枚めの画像の右上あたりに、今回の名古屋大の問題にあてはめたものを載せています。(イ)の結果に代入し、点Q軌跡の方程式が求まっています。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回紹介した「反転」は受験数学において、「逆像法」(大学への数学では「逆手流」)というテーマのサブテーマです。有名な1対1でも取り上げられていますので、気になった方はチェックしてみてください。 

1対1対応の演習/数学II 新訂版 (大学への数学 1対1シリーズ)

1対1対応の演習/数学II 新訂版 (大学への数学 1対1シリーズ)

 

  

kateikyoushi.hatenablog.jp

 

できるだけ小さい自然数をかけたり割ったりしてある数の2乗にする

中3数学で学ぶ展開・因数分解は高校数学への土台となる重要な単元のひとつです。
普通は展開→因数分解の順に学びますが、因数分解の前に素因数分解というものがありますね。
筆算すればいいんでしょ、簡単カンタンと油断していると、学校ワークに突如、「360にきるだけ小さい自然数をかけてある数の2乗にしたい。どんな自然数をかければよいか。」といった問題に出くわします。「何これ、ちょっと意味が分からないよ。」と手が止まってしまった人も多いのではないでしょうか。
今回はこうした問題を2題解説してみました。参考になれば幸いです。

 

目次

(1)できるだけ小さい自然数をかけてある数の2乗にする

20180705_kakete-shizensuu

もしこの問題が360ではなく12だったら、小さい順に12×1=12でNG、12×2=24でNG、12×3=36で6の2乗だからOK!

よって、かける数が3である数が6とわかります。このように、当てずっぽうで解いても答えだけなら求まりますし、実際にわかりやすい数で実験してみて問題の意味をつかみ取る、という考え方は大切です。
ただ、今回は360と数が大きいので、360×2=720、360×3=1080と計算していっても厳しそうです。そこで、素因数分解が威力を発揮します。
詳細は上の画像を見てもらうことにして、ここではポイントだけ記します。

  • 略解の一行目のように、四角やマルの記号を使って表す
  • 四角の中には、各素因数の指数が偶数になるような数を入れる
  • 指数法則を逆向きに使う

3つめを補足します。 \begin{equation*} \left( a^{2} bc\right)^{2} =a^{4} b^{2} c^{2} \end{equation*} これは中1で習ったので大丈夫ですね。この問題ではこの式を逆向きに使います。つまり、 \begin{equation*} a^{4} b^{2} c^{2} =\left( a^{2} bc\right)^{2} \end{equation*}を使います。これを使うためには左辺のa,b,cのそれぞれの指数が偶数である必要があります。指数が偶数になるように四角の中に入れる素数を決定します。

 

(2)できるだけ小さい自然数で割ってある数の2乗にする

20180705_watte-shizensuu

基本的な流れは(1)と同じですが、ポイントを記します。

  • 略解の一行目は、割り算の記号画像のように左辺をで表す
  • 四角の中には、約分したあとに各素因数の指数が偶数になるような素数を入れる
  • 7は約分されて1になりこれもOK

まとめ

いかがでしたでしょうか。この問題は素因数分解の威力が分かるいい問題だと思います。
学校のワークで挫折してしまった人もぜひ再チャレンジしてみて下さいね。