サイコロをn回振って「1の目が少なくとも2回出る」かつ「2の目が少なくとも1回出る」確率
確率の問題で、「少なくとも~」と言われたら余事象を考えよ、というのは定石ですよね。
余事象の確率は頻出なので、解法を覚えてしまっている人も多いと思います。ですが、今回の問題は、頭の中だけで処理しようとするとかなり混乱します。そこで、集合やベン図を積極的に活用して解いてみました。略解ですが参考になれば幸いです。
目次
(1)「少なくとも1回」かつ「少なくとも1回」の確率
こちらは参考書などでよく見かける典型問題ですね。
「少なくとも1回1の目が出る」かつ「少なくとも1回2の目が出る」
が直接求めにくいので、余事象を考えます。
「少なくとも1回1の目が出る」かつ「少なくとも1回2の目が出る」の余事象は、
「1の目が1回も出ない」または「2の目が1回も出ない」です。
「1の目が1回も出ない」は「n回とも2以上の目が出る」ということですから、こちらは簡単に求まります。
「2の目が1回も出ない」は「n回とも2以外の目が出る」ですから同様です。
ここで、「1の目も2の目も1回も出ない」がダブルカウントされないように注意する必要があります。「1の目も2の目も1回も出ない」は「n回とも3以上の目が出る」と言い換えられます。
このように言葉で考えていっても(1)であればなんとか処理できるのですが、上の画像の略解のように集合の記号を使って、機械的に求められるようになると(2)への応用が効きやすくなります。
(2)「少なくとも2回」かつ「少なくとも1回」の確率
「少なくとも2回1の目が出る」の余事象は「1の目が出るのが1回以下」つまり「1の目が1回だけ出る」または「1の目が1回も出ない」です。さらに「少なくとも1回2の目が出る」の余事象は「2の目が1回も出ない」です。その上で1の目との「または」になるから、、、と言葉で考えていくとわけが分からなくなりますね。
そこで、上の画像のように集合の記号とベン図を使って、機械的に式変形していきます。
ただし、排反に分けるところは、現象をイメージして判断します。本問では「1の目が1回も出ない」事象と「1の目が1回だけ出る」事象は排反ですので、略解のように式変形ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。画像の補足説明が言葉だけになってしまったので分かりにくいです。すみません。それだけ集合の記号やベン図がわかりやすいことの裏返しでもありますね。言葉で考えないと納得した感じがしない、ということもあるのですが、方程式と同様に機械的な処理の恩恵に預かるのも必要と思います。
絶対値が2箇所にある一次不等式の解き方
絶対値がなければとても簡単な一次不等式ですが、絶対値がつくと場合分けが必要になって難易度がぐんと跳ね上がりますね。今回は、絶対値付きの一次不等式について2つの解き方を紹介します。
目次
絶対値付きの一次不等式
【解1】は通常の場合分けによる解き方、【解2】はグラフを用いた視覚的な解き方です。不等式とグラフの関係については、中学校の1次関数を少し発展させただけなので理解しやすいと思います。
それぞれの解法について画像で説明しきれなかったポイントを補足します。
【解1】の補足ポイント
教科書や参考書によって解答の表現が異なっているため、解答の全体像が理解しにくい方もいらしゃるかもしれません。上の解答では番号を多めに振って、それらを「かつ」「または」で結ぶことにより全体像がわかりやすいようにしました。
解答の流れ
- (ⅰ)のとき、①かつ②より③
- (ⅱ)のとき、④かつ⑤より⑥
- (ⅲ)のとき、⑦かつ⑧より⑨
(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)より、③または⑥または⑨の範囲が答え
【解2】の補足ポイント
問題文の不等式の両辺をそれぞれ「yがxの一次関数である」と見てあげて、①と②のグラフを描きます。②のy=10は大丈夫ですね。①のグラフを描くのに時間がかかってしまう方は以下の手順で書いてみてください。
y=|x+2|+|2x-3|を書く手順
まずxの一次式なのでこのグラフが折れ線になることは覚えておく。
線分CDを先に書いてしまい、そのあとで半直線CA、DBを付け足す。
線分CDの描き方
2箇所の絶対値の中身が0となるxを求める。
x=2,3/2となり、これが折れ曲がる点C、Dのx座標になるので、①に代入してy座標も求める。
点C、Dをプロットし線分CDを描く。
半直線CA、DBの描き方
半直線の傾きは絶対値を外したときのxの係数と一致する。
傾きはそれぞれ-3,3とわかるので点Cから左上方向、点Dから右上方向に半直線を引く。
①、②の交点は中学校の一次関数の解き方で求められますね。
①のグラフが②よりも下にあるようなxの範囲が答えになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。【解2】のほうがスマートに見えますが、実際には半直線CA、DBの式を求める際に絶対値を外しているので、場合分けをしていることにはなります。まずは【解1】で場合分けの考え方を身につけてから、実際のテストなどで【解2】のグラフを用いて時短をはかるのが良いかと思います。
一度は解いておきたい!3乗の因数分解の解説
中学校でも習った因数分解ですが、高校になると急に難しくなりますね。今回は、学校で配られるような問題集にありそうだけどあまり見かけない?因数分解を解説します。
目次
(和の3乗)ー(3乗の和)の因数分解
それぞれの行でどんな式変形をおこなったのか、どこに着目して式変形を行ったのかについて、右側の脚注欄にコメントしました。
この問題を解く際に意識するポイントは次の3点です。
意識するポイント
- 後ろが(3乗の和)である→画像の①の公式を使うのではないか?
- a,b,cの対称式である→a+b+cが共通因数になるのではないか?
- すべての項を共通因数でくくれない→まずは一部をくくれないか?
1.後ろが(3乗の和)の形になっている
画像の①の公式は、学校で配られる問題集の因数分解の最後の方によく出ているものです。これに気づけば、公式適用後、a+b+cでくくってみたくなりますね。
別解の方は、3乗ー3乗、3乗+3乗の形が現れるように変形しています。
2.a,b,cの対称式である
問題文がa,b,cの対称式なので、因数分解された式も当然対称式になります。
本問の場合、a,b,cの3乗の項が0になることに気づければ、答えの形が想像できて解きやすくなりますね。
3.すべての項を共通因数でくくれない
本解では、-3abcはa+b+cでくくれず残ってしまいます。このような場合でも、くくれた方の因数の中を整理することで、-3abcとの共通因数が現れます。解答では、3でくくれるようになりました。
別解ではb+cでくくれるようになっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。別解の方がスタンダードな解き方だとは思います。画像の①の公式自体も、別解と同様な方法で導くことができます。本解は、一度-3abcが取り残されてしまっても、1文字について整理すれば再度くくることができるという考え方を知る上で、頭の片隅において損はないと思います。